ごく一部のマンションで行われている「自主管理」、つまり管理会社に全く頼らず住民だけで管理する形態を除き、ほとんどのマンションは管理会社へ管理業務を委託しています。
委託の度合いによって「全部委託」と「一部委託」に大別されますが、どのような違いがあるのでしょうか。
■全部委託
名称の通り、基本的にほぼ全ての業務を管理会社に委託する方式です。
会計まわりから理事会・総会のサポート、設備・建物の維持管理業務までワンストップで行ってくれるため、やや極端に言えば管理組合はトラブルがなければ管理会社の提案通り決裁するだけで最低限の運営ができてしまう場合もあり、負担が最も少ない形態です。
ただし、その分委託費用は相対的に高めの金額になります。
分譲当初は通常この方式であり、国土交通省の「平成30年度マンション総合調査」によるとマンション全体の7割以上は全部委託方式を採用しています。
■一部委託
管理業務の一部だけを管理会社に委託し、その分管理組合が自ら業務を行う方式です。
どこまで委託してどこまで自ら行うかは管理組合によって様々ですが、管理会社を経由せずに様々な業者に発注を行ったり、自ら事務等を行ったりするため、基本的にはその分委託費用は安く済みます。
当然、その分管理組合の負担が増えるため、管理組合のなり手不足を招く、一部の役員や発注担当が固定化することで業者との不正な癒着を招く、といった可能性に気をつけなければなりません。
前述の国土交通省調査によると、マンション全体の1割ほどが全部委託以外の形で何らかの業務を管理会社に委託しているという結果でした。
■結局どっちがいいの?
どちらの方式がいいかは、管理組合ごとの状況や考え方によって異なるため一概には言えません。
築浅のマンションでは比較的若い世代が多く、仕事や子育てに忙しいため全部委託の「管理組合の手間が少ない」という恩恵は大きいでしょう。
一方、住民に建築関係に詳しい人がいたり、時間に融通が利く人が一定数いるマンションでは、全てを管理会社に委託するのを見直してコストダウンを図るのもいいかもしれません。
いずれにしても、目先のメリットではなく中長期的に持続可能な形を考えることが重要です。
■おわりに
分譲当初の全部委託契約のまま内容について考えたことがない、という管理組合も多いのではないかと思います。
一度自分たちにとってどういった形態がメリットが大きいのか考え、その上でどこまで委託するのがそのマンションにとってメリットが大きいのか、しっかりと方針を定めることが重要です。