マンションにお住まいであれば、ほとんどの方が関係してくる「マンション管理会社」。
しかし、業務内容が住民にやや見えにくいために、住民から「何をやっているのかわからない」と思われがちです。
マンション管理会社は何をしているのか、具体的な例などを紹介していきます。
【管理組合と管理会社の関係】
そもそも、マンション所有者の集まりである管理組合とマンション管理会社は、どのような関係なのでしょうか。
マンションは法律上の言葉で言えば「区分所有建物」=それぞれの部屋を各人で所有している建物ですが、エントランスや廊下、外壁・屋上・設備などいわゆる「共用部分」も、各部屋の所有者にて共同で所有している関係になります。
所有物である以上は管理の責任も当然所有者にありますので、お部屋内(専有部分)以外の共用部分も本来は所有者の皆さんで清掃や修繕などの管理をするというのが本来の形です。
しかしながら、日々の仕事や家事・育児などしていたらそのような時間はありませんし、マンションについての専門的な知識・技能もないですよね。
そこで、本来は所有者たち=管理組合が行うべき自分たちのマンションの管理を、外部の会社にやってもらおう、と委託するのがマンション管理会社です。
古いマンションを中心に自主管理といって管理会社を入れずに全て住人が管理を行っているケースもありますが、国土交通省の調査(※)によれば、約9割のマンションは何かしらの業務を管理会社に委託している状況です。
※国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」による
【管理会社の顔は管理員と「フロント」】
「マンション管理会社の人」と言われて多くの人がイメージしやすいのは、エントランスあたりによくいる「管理員」や「清掃員」ではないでしょうか。
管理員や清掃員は確かに住民との距離も近く、そのマンションの細かい不具合や住民トラブルまで、詳しく把握していることも多々ありますが、一般に「管理会社の担当者」というわけではありません。
担当者どころか管理会社からの下請けの会社の所属、という雇用形態の場合も数多くあります。
管理会社の担当者は「フロントマン」あるいは単に「フロント」と呼ばれる方です。
「フロント」と言われるとホテルのようにエントランスあたりにいるイメージを持ってしまうかもしれませんが、マンション管理会社の場合には普段は会社のオフィスにいるので、マンションに毎日のようにはいません。
理事会を経験したことがある方ならわかると思いますが、フロントは理事会の運営をサポートしたり、住民の苦情や相談に対応したりと、理事以外の住民にはやや見えにくいものの重要な役割を果たしています。
【ハード面での管理業務】
管理会社に委託することが多い業務はハード面とソフト面に分けることができますが、まずわかりやすいハード面の業務から例を紹介します。
■建物の点検 簡易的な調査でわかるレベルで、建物に異常がないか定期的にチェックします。
■設備類の点検 エレベーター、給水や排水のポンプ、自動ドア、機械式駐車場、電気設備、消防設備などの機械設備類の点検をします。
■清掃業務 清掃員により日々の共用部分の清掃やゴミ出しを行います。また、定期的に大がかりな清掃も実施します。
【ソフト面での管理業務】
次に、ソフト面での管理業務の例を紹介します。
■管理員業務 マンションへの訪問者対応や、敷地建物内の巡回点検、業者(点検や引っ越しなど)への立ち合いなどをマンション現地で行います。
■会計・出納業務 管理組合の予算・決算案の作成、収支の報告などの会計業務や、管理費等の収納・支払いの手続き・未納の方への督促・通帳管理といったお金の出し入れを行う出納業務を行います。
■理事会・総会支援業務 前述のフロントと呼ばれる担当者を中心に、理事会や総会が円滑に進められるよう支援し、必要に応じて助言を行います。各会議が終わった際には議事録の作成も行います。
【全部委託と一部委託】
これまで紹介した業務はあくまでも例であり、実際にどの業務をどこまで管理会社に委託するかは、管理組合の意向で選択することが可能です。
新築マンションでは上記に挙げたような業務は管理会社に全て委託する全部委託契約となっていますが、一部の点検業務などを管理組合が業者に直接発注する一部委託契約へと変更することができるのです。
もちろん業者選定や内容の確認など管理組合(実質的には理事会)の仕事は増えますが、その分管理会社への委託コストを下げることができる可能性があります。
ただし、闇雲に管理会社への委託業務を減らして自力の発注にしていくと、理事会の負担が増える分、理事のなり手不足問題や一部メンバーの固定化を引き起こしかねないので注意が必要です。
【おわりに】
安心・安全・快適にマンションに住み続けるために、必須に近い関係であるマンション管理会社。
普段の業務が見えにくいために管理費の大きな使い道として気になるところですが、縁の下の力持ちとして住民の生活を支えてくれています。